税理士後藤の節税塾!(33)「青色申告の承認申請書の提出漏れに注意」

「青色申告の承認申請書」を提出するメリットは、以下のとおりです。

 

(1)損失の繰り越しと繰り戻し

法人または個人事業者の事業所得が赤字になった時、その損失を翌期以降3年間にわたって繰り越すことができます。また、その損失額を前期に繰り戻して、前期の税金還付を受けることもできます。

 

(2)青色申告特別控除

不動産所得もしくは事業所得が生じる青色申告者は、正規の簿記による記帳とその7年間の保存(請求書、納品書等は5年間)を条件に、原則として所得の最高65万円を控除することができます。また、簡易な簿記による記帳と損益計算書のみの添付提出(青色申告決算書4ページ目の貸借対照表を未提出)の場合には、最高10万円控除することができます。

 

(3)専業者給与

青色申告事業者と生計を一にしている15歳以上の家族に、青色申告事業者の仕事に従事した結果として支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲であれば、経費として計上することができます。他方、当該家族は、控除対象配偶者または不要親族にはなれません。

 

(4)貸倒引当金

売掛金、貸付金の貸倒による損失の見込み額として、事業年度末にその残高合計額の5.5%(金融業は3.3%)以下の金額を貸倒引当金として繰り入れた場合には、その繰入額を経費として計上することができます。なお、個別評価(それぞれ個別にその事由による損失見込額を算定評価する方法)による貸倒引当金繰入額を経費として計上することもできますが、その場合にはその売掛金または貸付金は一括評価の計算からは除外されます。

 

(5)少額減価償却資産の特例

青色申告事業者が10万円以上の償却資産を購入した場合でも、30万円未満のものを一括でその事業年度の経費として計上できます。なお、その合計限度額は300万円までで、いくらでも一括計上できるわけではありません。

 

これらのメリットを享受するためには、「青色申告の承認申請書」を税務署に提出する必要があります。その提出期限は、下記のとおりです。

 

(A)個人事業主が開業する場合

①開業年の1月15日までに開業:開業年の3月15日まで

②開業年の1月16日以降開業:開業日から2ヶ月以内

 

(B)相続により個人事業を承継した場合

①被相続人が白色申告者でその年の1月15日までに承継:承継年の3月15日まで

②上記で1月16日以降に承継:承継日から2ヶ月以内

③被相続人が青色申告者の場合(死亡の日が1月1日から8月31日まで):死亡の日から4ヶ月以内

④被相続人が青色申告者の場合(死亡の日が9月1日から10月31日まで):死亡の日の年の12月31日まで

⑤被相続人が青色申告者の場合(死亡の日が11月1日から12月31日まで):死亡の日の年の翌年2月15日まで

 

(C)法人開業の場合

会社設立日から3か月を経過した日、または事業年度終了日(決算日)のいずれか早い日の前日まで

 

なお、上記提出期限まで提出することが忘れた場合には、それを気づいて即座に提出した場合、提出日の属する事業年度の翌事業年度から青色申告が適用となります。

くれぐれも、「青色申告の承認申請書」の提出漏れがないように留意してください。